音声収録

ロケにおける音声収録
音は映像よりも厄介だ。何せ比較が難しい。
映像ならば左右に並べて比較もできるが、音は同時に聴く訳には行かないから、聴いた音の記憶を比較することになる。
それは聴いた心象を脳が比較していることに他ならない。 そのうえ人間の聴覚は聴きたい音を選り分けて聴く能力を持っているから、騒音の中からでも必要な音を聞き分けてしまう。
映像よりも音響へのこだわりの方がディープに感じるのは私の偏見だろうか。
だが一般的にビデオに付随する録音環境は、それなりにマイクが付いて、それなりに録音されている域を出ない。
お仕事で音声さんが入り、フィールドミキサーと竿持ちでマイクが入れば、現場は安心して収録を進めることが出来るのだが、実際そうも行かない状況下では、カメラマンが音声収録も同時にオペレートすることになる。
カメラ固定のガンマイクでも音は取れるが、被写体が後ろを向いてしまった時には悲惨なことになる。事前に人物が入って喋る前提のロケであることが分かっていれば、ワイヤレスマイクを準備すれば済む話でもあるが、人物二人にピンマイク2個付けて同時に状況音も拾っておきたい場合はどーする。音声トラック4chあればまだしも、普通に2chだったりすると結構悩む。
しかしどんな状況であれ、音声収録は欠かすことは出来ない。人物の喋りが無くても状況音は確実に拾っておかなくてはいけない。
効果音と呼べない収録時の環境音すら拾っておくべきだと考えている。それは編集時の音圧を整える時にも有効だし、何よりも後から付け加える手間よりも消す方が遥かに合理的だからだ。
最終的にナレーションが入りBGMの付く場合でも、収録現場の音声は適正レベルで拾っておかなくてはいけない。
(ウインドジャーマー)
雨が降れば傘をさすように、風が吹けば防風するのは当然と考える。 風のエネルギーがマイクを叩いていると考えれば、そのエネルギーを吸収する為には毛足の細くて長い服が有効となる。
(イヤホンにこだわる)
音を重点敵にオペレートするにはヘッドフォンが優れているが、カメラを担ぐことの多い現場では、ヘッドフォンがカメラに当たって邪魔をしてしまうので、どうしても片耳のイヤホンに軍配が上がる。 カナレ型のイヤホンも選択肢としては有効だが、音質チェックではないので、通常は業務用のPchイヤホンを使用している。
イヤホンの種類によってかなりの違いがあるので、装着時に1kHzの信号音を出して音量調整をしておくことが必要だ。できれば通常使うイヤホンは決めておいた方がいい。
(1ガンマイク+2ワイヤレス構成)
2chの音声トラックのカメラに3ch分の音声を入れる場合の特殊な用法だ。
結線図解 用品解説(予定)
(デジタル録音と”カチンコ”)
ICレコーダーの進歩は、録音現場を一変するだけの要素を含んでいる。
音質・携帯性・コストパフォーマンス、そのどれもが飛躍的に進歩している。
デジタル技術の進歩は真に凄まじい。 ICレコーダーの音ずれの無さは特筆すべき事柄で、外部同期を取る必要も無く凡そ1時間ぐらいは誤差無く同期する。 もちろんタイムコードはノンドロップにしておく。 残念ながら汎用機のICレコーダーにはカメラのスタート/ストップと同期する機能は無いが、昔ながらカチンコで頭に収録開始の絵と音を入れておけば問題無く運用できる。
フィルム時代の同録を彷彿とさせるタイムスリップ現象とも言えるが、ICレコーダーの音ズレの無さはノンリニア編集で扱う音声ファイル形式と共に、実に相性の良い組み合わせと言える。
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